山本茜の截金硝子器「雪降り積みて」が入選しましたのでお知らせいたします。
会場、会期等詳細は日本工芸会ホームページ↓
https://www.nihonkogeikai.or.jp/exhibition/honten/70/?tab=info
現時点で截金硝子器「雪降り積みて」の巡回展示は、
東京、愛知、京都、大阪、石川まで決まっております。
それ以降は、追ってお知らせさせていただきます。
<作品解説>
工房は山間部にあり、毎年雪がたくさん降ります。しんしんと雪が降り積もり、辺りが真っ白に覆われた様子を見て、『拾遺和歌集』の平兼盛の歌、
山里は 雪降り積みて 道もなし 今日来む人を あはれとは見む
が思い起こされ、この作品の構想ができました。
截金の肥痩線を格子状に配してグラデーションをつけることで純白の雪原を表現しました。このような肥痩線の使い方は今までにない新たな表現です。そして、大小の正方形の切箔を散らしてしんしんと降る雪を表現しました。装飾としての截金ではなく、あくまで截金の伝統的な文様様式を守りつつ、絵画表現を試みました。
ガラスは深い濃紺のガラス1色だけを使い、ガラスの厚みの差による色の変化のみで早朝の澄み切った青い空気の、音の無い、静かな静かな雪世界を表現しました。
今までの作品の中で最も面積の広い截金でしたので、ガラス融着時の空気を抜くのに苦労し、従来の方法では上手くいかず、試行錯誤を重ね、今後の制作に活かせる多くの学びを得ました。2020年から制作を始め、今年ようやく完成させることができました。ガラスの楕円形の削り出しも初めての試みです。イメージを追い求め、新たな表現に挑戦した成果をご高覧いただけますと幸いです。